スライドC
D ニゴロブナが減ってきた主な原因を知ろう。(水産課職員の講話)
  <児童の主な感想>
   ・琵琶湖を埋め立てる必要はないと思うけれど、もし、埋め立てるなら、ちょっとは考えてやらない
    といけないと思った。
   ・ニゴロブナにとって、今、琵琶湖はすみにくい場所なんだなと思った。ニゴロブナがすみやすい
    ようにしないといけないと思った。
   ・水草がいっぱいあると、酸素がなくなると聞いてびっくりした。
   ・水草はたくさんあってもいいと思ったら、ありすぎたら泳げないと聞き、なるほどと思った。
   ・ニゴロブナは、今、数が減っていて、しかも固有種だから、琵琶湖からいなくなったら、世界中
    からいなくなる。だから、何とかして増やす方法を考えたい。
【指導者の声】
乗船する前に事前学習したことで、ニゴロブナのことが理解でき疑問をしっかり持つこともできた。その上で、フローティングスクールの学習が一つ増えたので良かったし、琵琶湖の生き物に愛着を持つこともできた。
事前学習により、子どもたちの関心は、かなり高まったように感じた。実際に稚魚を見ることで気づきがあり、生態などへの関心が広がり、知識を得たいという意欲を持てたように思う。
事前の学習で自分の意見を持つことができたので、他校の子へも自信を持って交流できた。ただ、「減少=問題」として捉えている子は少なかったように思う。
問題意識を高めたり、関心を深めたりするために、他校の子どもたちとの意見交流が有効に働いたかという点では疑問が残る。交流をするなら、仲が深まってきた2日目に、ニゴロブナが減ってきたことへの対策の仕方をグループで考えると面白いかもしれないと思う。
・  子どもたちの感想からも、自分たちの取り組みに誇りを持っているようだった。放流の場面も各校の教師が見られるとよかった。
感想で「元気に育って欲しい。」や「食べられないように気をつけてね。」などの言葉があったので、放流したことで元気に育って増えて欲しいという思いを育むことができたと思う。
【研究テーマ】 
  「ニゴロブナを知って増やそう」
    〜課題を明確にし、事前・事後学習をふくめた課題解決学習のあり方〜
 
湖魚を食べるカワウの問題についての調べ学習をまとめる。 ニゴロブナの減少の原因や漁師さんによる対策などについて発表する。
学校での事後学習
   
ニゴロブナが減ってきた原因について他校の児童と考えを交流する。 成魚を見て大きさに驚き、ニゴロブナへの関心がさらに高まる。
 
ニゴロブナの稚魚の様子を手で感じながら、波打ち際に放流する。 ニゴロブナ減少の原因を水産課の職員から聞き、疑問に感じたことを質問する。
B ニゴロブナが減ってきた原因について、自分と友達の考えの違いを知り、他の友達に伝えよう。
  <交流の主な事例>
   児童A:減ってきた原因は、ヨシが少なくなってきたからだと思う。
   児童B:どうしてヨシが減ると、ニゴロブナが減ってくるのかな。
   児童C:ヨシにニゴロブナが卵を産み付けるからじゃなかったかな。
   児童B:ああ、そうか。


C ニゴロブナの稚魚を放流しよう。
  <放流時の児童の主な感想>
   ・大きくなって、ニゴロブナが琵琶湖にたくさんいるようになってほしい。
   ・(ニゴロブナの成魚を見て)本当にこんなに大きくなるのかな。
   ・ニゴロブナが琵琶湖に戻ってうれしかった。
   ・放流したら、ウミガメの母親になった気分だった。
   ・放流したニゴロブナが外来魚に食べられてほしくない。
   ・ニゴロブナがちゃんと沖までいってほしい。
   ・ニゴロブナが大きくなって卵を産んで欲しい。
   ・ニゴロブナの数が減っているから、しっかり生き延びて欲しい。
   ・ニゴロブナが卵を産んでほしい。そして、また小魚が大きくなって卵を産んで増えてほしい。
フローティングスクールでの学習
【航海の特色】
E ニゴロブナが減ってきた主な原因をさらに調べよう。また、ニゴロブナや
  ニゴロブナのすむ場所を守ったり、鮒寿司作りを受けついだりしている
  人々の取組みを調べよう。

  <主な学習例>
   ・カワウによる魚類の捕食、竹生島におけるカワウ問題について
   ・湖岸道路の建設等に伴うヨシ帯の減少等について
   ・外来魚の駆除、外来魚回収事業について
   ・水田を利用したニゴロブナの稚魚の生産・放流について 
スライドD

 県水産課の湖魚に関する啓発事業「びわ湖の魚を知って増やそう体験学習」事業の実施にあたり、固有種のニゴロブナの稚魚を放流するという自分たちの行動が、琵琶湖の生き物の命を守るために貢献しているという意義を子どもたちが意識できるよう、乗船前の事前学習でニゴロブナをよく知るとともに、ニゴロブナの個体数が減ってきた原因について考える学習を展開した。
 

【学習展開】

学校での事前学習
@ ニゴロブナの特徴や生活の様子、私たちの生活との関わりについて知ろう。
 ・琵琶湖にすむ魚には、どんなものがいるかな。
 ・どんな魚が食べられているかな。
 ・鮒寿司にはニゴロブナというフナが使われています。ニゴロブナがどんな魚
   か観察してみよう。(ニゴロブナの顔を正面からスケッチ)  
 ・このニゴロブナを使った鮒寿司はどのように作るのか、資料を見てみよう。
 ・ニゴロブナはどこでどのように育っているのかな。
 ・ニゴロブナの生活の様子について、資料を見てみよう。 
<1日目>
 帰帆島港 −−−− 白石 −−−− 長浜港
  10:00発                        13:45着
 
<2日目>
 長浜港 −−−− 多景島 −−−−沖島水道 −−−− 帰帆島港
  11:10発                                       15:10着
※スライドA、C、D、および、ワークシート2は、滋賀県水産課の資料を編集して作成しています。
【航路】
ワークシート1
スライドA
スライドB
A ニゴロブナが減ってきた原因を予想しよう。
 1)ニゴロブナの数は増えているのだろうか。減っているのだろうか。
 2)フナ類の漁獲量の推移グラフを見てみよう。         
 3)どうしてニゴロブナは減ってきたのだろうか。原因を考えてみよう。
                                       
ワークシート1
   
ニゴロブナの顔の正面を覗き込んで、スケッチをする。 顔のスケッチ等を通して多くの児童がニゴロブナへの愛着を持った。 
現在と約50年前の航空写真から、湖岸の形状の様子を比較する。 ニゴロブナが減ってきた原因について、学級内で考えを交流する。
ワークシート1

520−0047 大津市浜大津5丁目1−7
  びわ湖フローティングスクール  
077−524−8225  FAX 077−524−8226

<ニゴロブナが減少した原因について、児童の主な考え>
 ・ブラックバスやブルーギルなどの外来種にニゴロブナが食べられたから。
 ・人間(漁師)がニゴロブナをいっぱいとったから。
 ・人間が洗剤などを水と一緒にびわ湖に流し、びわ湖が汚くなったから。
 ・プランクトンが大量発生したから。
 ・ニゴロブナが卵を産むヨシを人間が刈り取ったり、ヨシ帯を埋め立てたりしたから。
 ・ニゴロブナが減っているのに、鳥は増えているから、鳥がニゴロブナを食べすぎて減っていると思う。
【考察 (研究の成果と課題)】
子どもたちがニゴロブナが減少してきた原因を考えるにあたり、昭和36年と平成20年の湖岸の航空写真で比較する資料、ここ20年の主な水鳥の確認個体数の経年変化および食性が分かる資料、水面に占める水草の面積が異なる2種の写真を比較する資料をヒントとして提示したが、航空写真を比較して違いや共通点を読み取ったり、グラフ等を条件を押さえながら読み取ったりする学習が、第5学年という発達段階の思考に、比較的適合していた。
魚の顔を正面から見てスケッチするという学習は、普段あまり見ることのない視点であったため、子どもたちの興味関心を引き出すことに一定の役割を果たすことができたと考える。多くの子どもが、「よく見ると面白い顔をしている。」、「口をパクパクさせて、かわいらしい顔をしている。」などと親しみを持つことができた。
愛着を持てば、放流にあたり、その意義を多くの子が実感してくれると予想していたが、愛着を持つだけでは「琵琶湖に戻って嬉しかった。」などの感想に留まっていたと考える。実際は、愛着を感じつつ、かつ 「ニゴロブナの減少が問題である。」と意識している児童が、「大きくなって、しっかり生き延びて増えてほしい。」などと感想を述べ、放流の意義を感じているようであった。
固有種のニゴロブナの稚魚を放流するという自分たちの行動が、琵琶湖の生き物の命を守るために貢献しているという意義を実感させるためには、事前学習で、ニゴロブナの減少がなぜ問題であるのかをより考えさせるようにする必要がある。
・  ニゴロブナ減少の原因についての交流では、より具体的なプロセス、課題に迫る指示が必要であると考えられる。「ニゴロブナが減少している中その対策を出し合い、最もよいと思われるものを班で一つ選ぼう。理由も明らかにすること。」などと指示をすると、より主体的に班での思考ができたのではないかと考える。